賢者の日記

賢者の日記

齢20と幾年、穴から出られなくなった山椒魚が思った事を記す。

2週間でコンビニ店員と仲良くなる方法は

大学近くのコンビニへ行くと、レジでかわいい女の子が笑顔を振りまいている。

あの子と知り合いになりたい。大学生だろうか、学部はどこだろうか。

しかし客と店員の壁は高い。明るい展望の代わりに望み薄に違いないという疑念ばかりが湧いてくる。

誰でもそういう経験、一度はある。

2ちゃんねるでは今日も今日とて「店員さんにアドレスを渡す」と、勇気ひとつを引っ提げた名もなき漢たちが儚く散っていく。そんな幾多の同志を見るにつけ、私は苦い思いをするものだ。

 

わかっていると思うけど、

「アドレス渡す」

これは絶対成功しない。まあ相手からしたら怖いよね。

経験済みなので、これは絶対の真理である。

 

「仲良くなる方法、はじめました~」

 

私は、コンビニ店員とそこそこの距離を縮めることに一定の能力を有している、と自負するものだ。ここで注意すべきは、この記事を頭から尻まで読んでも「そこそこの距離」に過ぎない。「恋人」となることについては筆者も到達していない、未知の世界なのだ。嘘はつけない。

他の有象無象より早く「個人」として店員さんに認識してもらうための術を実地で身に着けたものである。これからその方法論としての術・作戦を紹介していきたい。

 

この記事は、店員さんと近づきたい全てのコミュ障に捧ぐ。

コミュ障諸君、いまこそ理論武装するとき。パワーで押しきるコミュ力お化けに一矢報いるのだ。

 

 

 

 

 

1.ゴールの設定~友達か恋人か~

まず諸君がこのプログラムを実行するにあたって、予め考えておくべきことがある。

それは意中のコンビニ店員さんと最終的にどういう関係になりたいか、ということ、具体的には友達になりたいか、不純異性交遊に臨みたいか、ということだ。

 

友達になりたい場合

彼女(彼)との関係において友達を最終目標とするのであれば、記事で紹介する術を活かしつつ、地道に関係を進めていただきたい。

一呼吸おいて考えればすぐ分かることだが、友達となることが目的なら焦る必要が全くないわけで、2週間と言わず、丁寧に地盤を固めていただくに越したことはない。

 

ちなみに、若いお姉さんにこだわらなければ、おばちゃんと言われる一定の年齢層の奥様方は友達になりやすい傾向にある。

 

恋愛に発展させたい場合

異性関係に発展させたいならこうはいかない。

そしてここで紹介する術はあくまで「仲良くなる」方法であるということ。

すなわち0から1へ踏み出す方法にすぎない。だからあまり悠長なことを言っているといつまで経っても友達程度にしか認識してもらえない。個として認識してもらったら、次は男女の関係を目指す別の方法論にシフトすべきで、だから「2週間」という区切りを設けた。

個として認識してもらえたと感じたら、すぐに次の段階「異性」を意識させなければならない。そしてその方法は未だよく分からない。

 

ここで、ある失敗談を紹介したい。

 

パワプロくん理論>

大学生のAくんは、ひとりの女性と知り合った。講義の時レジメを貸してもらっただけの関係で、幸運にもそこから二人で出かけたり、食事に行ったりすることができた。

ところが2か月を過ぎたあたりから雲行きが怪しくなってくる。どうみても彼女のテンションが低いし、そっけない、興味のないといった雰囲気を嫌という程醸し出してくる。で、いろいろあって、振られる。ここはAくんの意向に従い割愛する。

このことを知り合いの女性に持ち掛けると、次のような回答があった。

「女の子は3か月も待てないよ。それだけ長い期間何もないなら次に行っちゃうよ」

ふざけんな、ばーかばーか、そっちがソレっぽい発言してきたくせに待てないとかおかしいじゃん、ありえねー。

Aくんの想いである。

 

彼女の回答が21世紀女史普遍の論理であるとするならば、気長な作戦は立てるだけ損であろう。

 

友達→恋人で2,3か月がリミットと考えると、コンビニ店員の場合、

客と店員→知り合い→仲良し

と超えるべき段階がいくつもある。

 

ちなみに、私が大学の先輩(男)にこの話をすると、彼は当時次のように述べた。

「俺は恋愛に発展するには友情を育むべきだと思っていた。友情が芽生えて100になりその次の段階として恋愛値が100まであるものと思っていた。パワプロのステータスのように」

 

この一切の出来事を総称し、パワプロ理論と名付ける。

このパワプロ理論から導き出される教訓は、「恋愛へのステップ移行は早いに越したことはない」である。

 

<銀行員理論>

銀行の受付は短いスパンで移転するから、輪をかけて急がないといけないよ。

↑タイムオーバーを迎えてしまった戒め。

 

コンビニ店員を落とすなら、パワプロくん理論、銀行員理論から、だいたい一ヶ月でモノにしたい。他のライバルの登場を懸念して、保険の1週間を用意するなら、だいたい2週間、というわけだ。

 

2.個人として認識してもらうために

ここからは具体的な方法を紹介する。

言わずとも知れたことだけれど、コンビニ店員さんにとって我々は星の数ほどいる客の一人であるということ。

だからまずは「その他大勢」から「個」として認識してもらわねばならない。

個(お客様、ではなく「いつものあの人」)として認識してもらう以上、他との差別化を図る必要性が出てくる。

 

例えば

 

腕に人の顔のタトゥーを入れる。

 

これも立派な差別化だ。裏で絶対「パンク」と呼ばれる。だからこんな人が愛想よく話しかけてくると「やたら話しかけてくるやべぇヤツ」になれる。

腕にタトゥーを入れろとは言わないけれど、これからやることはそういった類のものである。

 

①挨拶

基本中の基本。でも割とできない人が多い。

挨拶は短く、気持ちよく!

そもそも店員さんが「いらっしゃいませ」と言っているのに常識的に無言でいて良いわけがない。挨拶されたら食い気味で「おはようございます」と言おう。

先ほども書いたが、信じられないことに大抵の客はこれをしない。

だから差別化ポイント+1、である。これだけでも仲良くなれる。

 

②会う頻度を高める

もう非モテたちの恋愛研究界においては常識となっている「単純接触効果」を期待するもの。侮れない!

ただしここでは2週間という期限を設ける以上、週2、3回は顔を見せたい。2週間で4〜6回の訪問となるわけで、この間に関係を深める姿勢を持とう。

もちろん意中の子がシフトで居なければノーカウントなので、時間を改めて再訪問すること。

 

③さり気なく名札を見せつける

会社員であれば名札を提げても良い。

見せびらかす訳ではないが、目に付く位置には置いておこう。

 

どうせ見ない?絶対にそんなことはない。

ではなぜ君は店員さんの名前を知っているのか。

というか相手も普通に見てるから気にしなくて良い。自意識カジョーというやつである。

例えば取引先の受付嬢であれば相手を名前で呼ぶよう教育を受けてるはずだから、こちらが期待する前に見てくれている。

 

④同一行動・繰り返し行動による印象付け

買う商品は毎回同じものを買うこと。「コーヒー」や「おにぎり」とか大きな分類ではなく、同じ商品を買う。それを②の高い頻度で繰り返して、印象付ける。

するとたまに違う商品を買ったりした時に「〇〇さん今日はLipton買わないんですか」と聞かれる。要するに餌を蒔く訳だ。

 

ポイントカードも同様で、大抵の場合、会計時にカードの有無を尋ねられる。有り無しはここではどちらでも良くて、重要なのは毎回同じやり取りをするということ。即ち何時も持っていない、又は何時も持っている。

しかもカードの確認は店側の取り決めだから相手も毎回同じことを聞いてくる。するとお約束感が生じる。このやり取りについてはフジテレビ結婚できない男(名作!)を繰り返し見るのを薦める。

 

⑤募金をする

これが今回の切り札。募金。募金。募金!

これをやっている人は本当に少ない。だから本当に本当に本当におすすめ。

コンビニには必ず、店員さんに見える場所に募金箱が設置してある。だから相当下手を打たない限り募金する君の姿はばっちり見られている。

 

ちなみにこの作戦は店員さんの発言から発案したものである。

というのも私は「夢をかなえるゾウ」(水野敬也著)の影響で、以前から進んで募金をするようにしていたのである。

それを見た店員さんから「毎週水曜日に来店して108円のLiptonを110円で購入し、おつりの2円を募金していく人」と思われていたらしい。

 

とはいえ1聴いて10曲解するのが非モテの悪癖である。

なにも募金はカッコつけるためにやるのではない。再三言うように「個」として認識してもらうための方便である。カッコイイどころかむしろ自意識に塗れた下衆の思考なので、誤解なきよう。

 

 

3.まとめ

いかがだっただろうか。

方法と言っているけれど、上に紹介した5つの方法論はどれも人として当然のこと、あるいは簡単にできることばかりだ。おそらく道徳の教科書にも書いてある。

しかしこの当然のことができない人間が多すぎる。

お店と客といっても本質的には人対人のやりとりなのに、なんでも数値化してしまう現代人は、コンビニすらシステムとしてとらえてしまう。店員さんが心を込めて接客しているのに「34番」と一言発しただけで、店を出る人間が本当に多い。

 

けれど、これはチャンスだと考えるものである。

人と人の関係を軽視しがちな現代だからこそ、こういった当たり前なことをするだけで差別化させてもらえる。正直言って募金は書くべきかどうか悩んだ。

 

「店員さんと仲良くなるのは難しい」

そんなことは決してない。なぜなら相手も同じ人間で、日本の文化を共有し、日本語で話しかけてくれる存在であるからだ。賢者は大学時代のコンビニ店員さん(おばちゃん)と年賀状のやり取りをする関係であるし、また会社近くの店員さん(おばちゃん)とはお互いのおすすめの小説を貸し借りする仲である。おばちゃんばっかだな。

もし仲良くなるのが難しいと感じている人がいるならば、もう一度人と人とのコミュニケーション、接客業といったものについて考えてみるべきだと思う。

 

4.補足(これからのAI時代について)

以前、銀行の入り口で「ペッパー君」が挨拶しているのを見かけた。

入店してくる客は皆ペッパー君には目も向けず、整理番号札をぶんどっていった。ペッパー君がその背中に向かって「僕を無視しないでください」と言っている。

心が痛んだ。たしかに皆で彼を無視しているようにしか見えなかった。話しかけるのはお母さんに連れられてきた小さな子供たちばかりである。

その光景に賢者は「ペッパー君に人間と同等の扱い(挨拶や言葉遣いなど)をするのに抵抗があるのは、人間が人間であるプライドを捨てきれないのではないか」とSF心を燃やしたりしていたのだが、こうして記事を書いてみると、はたしてペッパー君と人間を置き換えたところで違う光景は見れたのか、怪しいものであることに気づいた。

 

いま、AIが仕事を奪うと言われている。

堀江貴文と落合陽一の共著「10年後の仕事図鑑」はAIと人間の棲み分けついて考察していた。事務処理等はAIに仕事をさせ、クリエイティブな分野やAIには難しい作業を人間がすれば良いというロジックで、そうなると先ほどのペッパー君のように人間対AIでやりとりをする機会は増えてくるだろう。効率化した先に人間は人間性を取り戻し、各々が本当にやりたいことができる、そういう社会が生まれるという。

しかし、人対人で既にここまで効率的な、無機質なやりとりをしている私たちである。来るべき次の時代に備え、私たちはもう一度コミュニケーションについて考え直さねばなるまい。

 

 

10年後の仕事図鑑

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