賢者の日記

賢者の日記

齢20と幾年、穴から出られなくなった山椒魚が思った事を記す。

クリスマス前夜

 社会人になるとイベント感覚が鈍るのだろうか。今年はハロウィンも終わって初めて気づいたし、直前までクリスマスの存在を失念していた。12月の勤務希望を出すとき、それを偶然見ていた先輩が指摘して初めて気づく具合である。

 社会人になるとこの手のイベントには手を引くようになるのか。

 そう思ったが、よく考えれば昔はハロウィンは馴染みが浅かったし、クリスマスもヤッパリ予定なんて無かった事に気付いた。今更嘆息のしようもない。万事平常運転であった。

 業務時間が回って、サテ残業スルカ、と腕まくりしたところ、足早に帰っていく同僚と目が合った。そいつは犯罪の現場を目撃してしまったような都合の悪い眼をしてそそくさと立ち去っていった。決まりの悪いのは本来こちら側であるべきなのを、私が豪も態度を崩さぬものだから、向こうで却って遠慮してしまうのだろう。

 

今さら定時で帰る帰らないも無いものだと考えていたらそう言えば今日はイブであった、ははんさては女かと思い出し、次に自分の年齢が女に浮足立てるギリギリの所にあるのに思い至り、見渡せば部屋に残されたのは私より2回り歳上の人間ばかりであるのに気づき、然して順当に鬱々たる気分となった。さっきから何度も来ている、子持ち女の着信履歴も、それに追い討ちを加えた。問題は包囲網を狭めてきていた。寒い夜には堪えるようだ。

 

クリスマスを楽しむ、大いに結構。他人と共有する、結構。しかし、独りで貝の様にやり過ごす、これも結構である。

今日は降誕祭。