賢者の日記

賢者の日記

齢20と幾年、穴から出られなくなった山椒魚が思った事を記す。

1月13日のブルース

 結局寝て終わった!

 どこにも出かけず、炬燵と布団を往復して、妙な夢ばかり見て、偶に目覚めれば本を広げたりして、気付けば辺りが暗くなっていた。そして明日に向けこれから本式に眠ることになるのである。

 

 書いている小説は結末付近で難航して手を出すに出せない。こういうのは時間が解決してくれようと懐手する他無かったが、もう丸三日経とうとしている。このまま完遂させることなく闇に葬られるのだろうと考えると、暗澹たる気になる。先へ進めるのは難儀だが、推敲は楽しい。推敲だけして作品が完成すればいいのにと思う。

 

 菊池寛「無名作家の日記」を読んだ。悲しいが私のことだ。京都が出るからといって、安易に手を出すんじゃなかった。

 彼は自らに自信がない、小作家であると書いているが、その癖「半自叙伝」のそこかしこで「一等を獲った」と書いている。幼少から晩年まで才能の塊である。すなわち自虐趣味なのである。

 だが、本の位置関係上「半自叙伝」「無名作家の日記」の接続となっている分、自虐的文章のなんと寒々しいことよ。私のような凡人をかように苦しめて、菊池寛という作家は、何と悪趣味であることか! 金輪際読んでやらない! と思った。ただし、一部には芥川との関わりなんかも書いてあって、今まで内田百閒、太宰治の文脈でしか知らない芥川の、さらに知らない一面を知れたのは思いがけない収穫であった。

 それから谷崎の文章読本(これは集中力が散漫であまり身になるところが少なかった)、明暗は7割読み返した辺りでよした。