賢者の日記

賢者の日記

齢20と幾年、穴から出られなくなった山椒魚が思った事を記す。

転職試験

筆者は月末月初の業務のクソ忙しい時期を利用してノコノコ京都観光へ出かけたー

 

ーというのは表向きの理由で、本当の理由は転職活動である。今回の旅行はその筆記試験を受けるのが真の目的であった。

 

試験会場で他の受験生がペンを走らせるなか、筆者は30分ほど答案を書いたり書かなかったりを繰り返し、素麺のように無駄に長い文章を読んだり、袋から球を取り出す実験について考察したり、古文漢文の素養をひけらかして答案を埋め…るフリをしたのち、速やかに筆を降ろした。

顔の前に両手を組んでいる。残された90分は神への祈祷に費やすことにしたらしい。答案用紙はおおむね真っ白である。

 

試験直前、筆者は「世の中の常識のレベルなんて知れてるやろ」と決して無勉の姿勢を崩さなかったが、問題用紙を開いた刹那、常識と教養を混同していたと悟った。要するにこの辺りが「賢者」の限界であろう。

 

不具合のある「賢者」がいかなる高得点を記録したか、それは各々で考察するが良し、決して出来高を問うような真似をしてはならない。

 

こうした不測の事態に筆者は「次はいつ来られるかわからんから終わったら観光しとこ」と前向きな姿勢を見せ、四条烏丸の雑踏に消えた。

「嘘が真」に変化した瞬間である。